FXのチャート上にパラボリックを表示させて過去の値動きを見てみると、かなり良いタイミングで切り替わっていることが多いですよね。
しかし、パラボリックはそんなに都合の良いツールではありません。それを鵜呑みにして使っても、思ったほど良い結果は残せないでしょう。
今回はパラボリックの使い方と、使う際の注意点について解説していきます。
パラボリックの使い方
エントリー
パラボリックは「ドテン用のエントリーサイン」として紹介されることがよくあります。良いタイミングで切り替わっているように見えるのが、その理由です。
※ドテン:「買い⇒売り」「売り⇒買い」のように、それまで持っていたポジションを決済して、逆方向にエントリーすること
しかし、最初にお伝えしたように、パラボリックはそんなに都合のツールではありません。なぜなら、パラボリックは「リペイント」されるからです。
※リペイント:ローソク足の形成中に表示が変わってしまうこと
例えば、①のローソク足のパラボリックは下に位置していますよね。しかし、これは最初から下にあったわけではありません。
①の始値の時点では、パラボリックはローソク足の上にありました。つまり、価格が上昇してローソク足にぶつかったタイミングで、下に切り替わったのです。
ですから、エントリーサインとして使うのを否定するわけではありませんが、使うなら「どのタイミングでルール化するのか?」を明確に決めておきましょう。
トレンドの勢いを判断する
パラボリックとローソク足の位置関係から、トレンドを判断する方法もあります。つまり、パラボリックがローソク足の下にあれば上昇トレンド。上にあれば下降トレンド、という判断です。
しかし、パラボリックの位置は意外にコロコロ変わります。まだダウ理論でトレンドが変わっていないような場面でも、変わってしまうことが多いです。
ですから、パラボリックで単純にトレンドを判断するよりも、上位足のトレンドの勢いを判断するために用いたほうが良いです。
例えば③のように、明らかにまだ上昇トレンド中なのに、パラボリックがローソク足の上に表示されたら、「上昇トレンドがもうすぐ終わるかも」「レンジになるかも」と読むことができます。
そういう判断ができれば、同じ上昇トレンドでも、もっとトレンドの強い通貨ペアを選べるようになるでしょう。
損切り・決済
パラボリックを損切りや決済に使う方法もあります。
- パラボリックの上下の位置が変わるのは、ローソク足がぶつかった時
- パラボリックが変わった時はトレンドが弱くなったと判断できる
この2つの判断があれば、損切り位置としての根拠も生まれますよね。
ですから、ちょっと面倒ですが、ローソク足が一本進むごとに、パラボリックの上昇に合わせて損切り位置を切り上げていくこともできます。
そうすれば、この④のようなタイミングで損切りとなるわけです。
このような決済方法を『トレーリングストップ』と言いますので、合わせて参考にしてみてください。
そもそもパラボリックとは?
ちなみに、パラボリックには『放物線』という意味があり、放物線には『物体の運動が描く軌跡』という意味があります。
つまり、ローソク足の軌跡を描いているのが『パラボリック』。名前通りのテクニカルツールですね。
また、パラボリックSARと呼ぶこともありますが、これは「Stop And Reverse」の略で、チャート上の点(ドット)の事を指します。つまり、SARでローソク足の軌跡を描いたのが、パラボリックSARということです。
このパラボリックを開発したのは、アメリカのテクニカルアナリストである「J.W.ワイルダー」氏。ワイルダー氏はパラボリックだけでなく、ピボットの開発者としても知られています。
参照:ピボット(pivot)の見方と使い方!トレンド時の特徴とは?
まとめ
今回はパラボリックの使い方と、使う際の注意点について解説してきました。
- エントリーに使う時はリペイントに注意する
- トレンド判断よりも、トレンドの勢いの判断に用いたほうが良い
- 動きに合わせてトレーリングストップにも使える
パラボリックは思ったほど都合の良いツールではありませんが、シンプルでローソク足の邪魔もしませんので、わりと使いやすいかと思います。
パラボリックを使う時には、今回の解説を参考にしていただけると幸いです。