『ピボット(pivot)』は値動き幅の目安を知ることのできるテクニカルツールです。ピボットのラインは値動きの節目になりやすいため、エントリーや利確位置に悩んでしまう方にとっては参考になるでしょう。
今回はピボットの見方と使い方について解説していきます。
ピボット(pivot)の見方
一日単位で変わる水平線
ピボットは「一日単位で変わる水平線」です。
こちらはユーロドルの1時間足ですが、白の点線は1日の区切りを表しています。ちょうどその区切りで、ピボットもの位置も変わっていますよね。
チャートに表示できるテクニカルツールは無数にありますが、そのほとんどがローソク足の動きに従って上がったり下がったりします。ですから、気が付いたら変わってしまい、ツールに取引の判断を振り回されてしまった経験のある方も多いかと思います。
しかし、ピボットは丸一日同じ場所から動きません。一日中基準が変わりませんので、じっくり考えて戦略を練ることができるのが、大きなメリットです。
ピボットの計算方法
ピボットは、上から順番に、R3・R2・R1・Pivot Point・S1・S2・S3の計7本のラインで構成されています。「R」と「S」は、それぞれ『レジスタンス』と『サポート』の頭文字です。
また、計算方法はこのようになっています。
- Pivot=(前日高値+前日安値+前日終値)÷3
- R1=(2×Pivot)-前日安値
- S1=(2×Pivot)-前日高値
- R2=Pivot+前日高値-前日安値
- S2=Pivot-前日高値+前日安値
- R3=高値+2×(Pivot-前日安値)
- S3=安値-2×(前日高値-Pivot)
一応計算方法を紹介しましたが、覚える必要はありません(笑) もちろん計算には意味があると思いますが、大事なのは使っている方が多いという事実です。
使っている方が多いということは、それだけ意識されるということになります。だからこそ、ピボットで値動きが反応するのです。
次からは、ピボットの具体的な使い方について解説していきます。
ピボットの使い方
トレンドの勢いの判断
ピボットだけでトレンド判断はしませんが、上昇トレンド時にはPivot Pointより上にローソク足が位置し、下降トレンド時には下にローソク足が位置しやすくなります。
特に強いトレンドが発生している時には、数日に渡ってPivot Pointがローソク足を追いかけるような展開になることもあります。
この下降トレンドが続いた場面では、約6日間に渡ってPivot Pointの下でローソク足が動いていますよね。トレンド方向へのエントリーを狙いたい時には、このような局面が適しています。
逆に、レンジの時にはPivot Pointを挟んで何度も上下に動いています。今度は15分足に切り替えましたが、青の◯で囲った部分に注目してみてください。
Pivot Pointを挟んで、何度も上下に動いていますよね?
このような局面では、ピボットも機能しにくくなりますので、取引を控えたほうが無難です。取引をするにしても、ピボット以外を参考にしたほうが良いでしょう。
意識されることが多いピボットですが、もちろん必ず反応するわけではありませんので、あまり過信しないように気を付けてください。
エントリーと利確
この場面で取引するなら、このような感じになります。
- 下がってきてからS1が抵抗になった①で売り、S2の②で利確
- 上昇の波形を作ってPivot Pointで反発した③で買い、R1の④で利確、もしくは強気でR2の⑤まで狙ってみる
ちなみに、よほど強いトレンド時でなければ、R3・S3まで価格が動くことはありません。つまり、R2でエントリーしてR3で利確、もしくはS2でエントリーしてS3で利確できるような時は稀です。
ですから、エントリーはR1・Pivot・S1、利確はR2・R1・S1・S2を目安にするのが良いでしょう。
まとめ
今回はピボットの見方と使い方について解説してきました。
- 上昇時はPivot Pointの上に、下降時は下にローソク足が位置しやすい
- エントリーの目安はR1・Pivot・S1
- 利確の目安はR2・R1・S1・S2
ピボットは水平線だけでは分からない値動きも捉えられますので、水平線の補助的な役割として使ってみるのも良いでしょう。
⇒ 水平線(ライン)の引き方のコツと3つの使い方